2022年4月
はじめに
粕屋北部消防組合では、消防の任務を遂行し、地域住民の期待と信頼に応えることはもちろんですが、一事業主としての立場から、自らの職員の子どもの誕生と健やかな育成のため、職場環境を整備することにより、職員のワークライフバランスの実現に資すること、並びに、女性を含めた多様な視点、新しい発想及びきめ細かな対応により、政策の質と住民サービスの向上に資するため、女性の採用や仕事と生活の調和の推進に積極的に取り組むことに取り組んでいます。
「次世代育成支援対策推進法」及び「女性活躍推進法」両法の基本的視点を踏まえ、地方公務員としての立場とともに、親という立場にある職員が、公務という仕事と子育てという親の責務とを両立し、男性も女性も働きやすく、活躍できるような職場環境づくりに向けて、その取り組みの内容や目標を「特定事業主行動計画」として定めました。
※ 以下、女性活躍推進法に基づく事項は【女性活躍】、次世代育成支援対策推進法に基づく事項は【次世代】と表記します。
※ この計画を効果的に推進するために、実施状況をフォローし、必要に応じて見直しを行います。
※ この計画中「規則」とは、「粕屋北部消防組合職員の勤務時間及び休暇等に関する条例施行規則(平成9年規則第2号)」を指します。
計画期間
本計画の期間は、令和3年度から令和7年度までの5年間とします。
具体的内容
職場環境の整備及び職員の意識の改革について【次世代・女性活躍】
「子育ては夫婦で協力して行う」という意識のもと、職場において子育てをしている人、また子育てをしようとしている人の「仕事と子育ての両立」ができるよう、職場全体で支援していく必要があります。
このことから、家庭よりも仕事優先、育児は女性がするものという考え方の意識改革、父親の積極的な育児参加の奨励、休業・休暇を取得しやすい環境づくり、働き方の見直しや、多様な働き方の実現に向け、次の取り組みを進めます。
(1)妊娠中及び出産後における配慮
子どもの出生や育児のための特別休暇、育児休業、共済組合による出産費用の給付等の経済的な支援措置及び各種手当等、仕事と家庭の両立を支援する制度の内容やその活用のあり方について、職員への周知を徹底します。
《特別休暇の種類》
ア 妊娠中又は出産後の女性職員の健康診断等(第14条第8号)
イ 妊娠中の女性職員の通勤緩和(規則第14条第9号)
ウ 妊娠障害休暇(規則第14条第10号)
エ 産前産後休暇(規則第14条第6号、第7号)
オ 育児休暇(生後1歳に達しない子、1日2回45分ずつ)
(規則第14条第11号)
(2)妊娠中の職員に対する時間外勤務の配慮
母性保護・母子健康管理の観点から、妊娠中の職員の健康や安全に特に配慮した業務分担の見直しを行うとともに、原則として時間外勤務は命じません。
(3)危険有害業務の就業制限
妊娠中及び産後一年を経過しない職員は、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊娠、出産、哺育等に有害な業務にはつかせません。
(4)男性の子育て目的の休暇等の取得促進
妻が出産する場合や子どもの養育のための特別休暇及び年次有給休暇の取得の促進を図るため、管理的な立場にある職員は、父親となる職員に休暇の取得を促すとともに、取得しやすい職場の環境づくりに努めます。
《特別休暇の種類》
ア 妻の出産に伴う休暇(3日以内)(規則第14条第13号)
イ 出産に伴う子の養育のための休暇(5日以内)(規則第14条第14号)
ウ 育児休暇(生後1歳に達しない子、1日2回45分ずつ)
(規則第14条第11号)
(5)子どもの看護休暇の取得促進
子ども(中学校就学前まで)の病気等の際には、子の看護のための特別休暇(一の年度において当該子1人につき5日以内)や年次有給休暇の取得の促進を図るため、管理的な立場にある職員は、休暇を取得しやすい職場の環境づくりに努めます。
(6)育児休業等を取得しやすい環境の整備
育児休業等の制度の周知
職員が安心して子育てに参加できるよう、男性も育児休業、育児短時間勤務又は育児のための部分休業の取得ができることについて周知に努めます。
育児休業等の代替要員の確保
消防は専門職であるため、休職者の代替要員確保は困難なものになりますが、適切に確保することを課題として様々な可能性を検討します。
育児休業を取得した職員の円滑な職場復帰
所属課等の上司及び人事担当者は育児休業者に対して、適宜、情報手段を活用して、課等の業務状況や育児の状況等について相互に連絡を取り合うよう努めるものとします。また、育児休業者が円滑に職場復帰できるよう積極的なサポートを心掛けます。
(7)時間外勤務の縮減
時間外勤務の縮減にあたり、職員の意識改革を最重要課題とし、時間外勤務は本来、公務のための臨時、または緊急のため必要がある場合に行われる勤務であるという認識を深め、職員が家庭で過ごす時間を大切にできる環境づくりを目指し、ひと月の時間外勤務命令時間について、職員1人当たり平均7時間以内とすることを目標とします。
(8)育児中の職員に対する深夜勤務及び時間外勤務の制限
子育てをする職員に対する深夜勤務及び時間外勤務の制限についての制度の周知と同制度が利用しやすい職場環境の整備に努めます。
(9)年次有給休暇の取得促進
年次有給休暇の取得が少ない職員、業務多忙な職員においては、管理的立場にある職員が調整を行うとともに、業務が一段落した際の休暇のまとめ取り等を奨励するなど、年次有給休暇取得日数を平均15日以上とすることを目標とします。
(10)人事異動における配慮
多様な職務機会の付与や研修等を行うなど、昇任や職場での活躍に必要な意欲と能力の向上が図られるように支援します。また、職員の申し出や人事評価制度における自由申告、面談等をもとに、子育ての状況に応じた人事上の配慮を行います。
(11)人事評価への反映
仕事と生活の調和推進に資するような効率的な業務運営や、良好な職場環境づくりのための行動については、人事評価において適切に評価を行います。
女性職員の活躍推進に向けた取り組みについて
消防は、その業務の特殊性から、多くの消防本部で男性に偏った採用が永く続いてきました。
しかし、近年では大規模消防本部を始め、中小規模の消防本部でも女性職員の採用が進み、多様な視点、新しい発想及び子どもや高齢者、災害時の要支援者など多様な住民へのきめ細かな対応など、政策の質と住民サービスの向上が期待されています。
消防庁の数値目標では、全国の消防吏員に占める女性職員の比率を、令和8年度当初までに5%に引き上げることとされています。このことから、女性職員の採用に向け、次の取り組みを実施します。
(1)採用試験における女性受験者の確保
粕屋北部消防組合における女性の消防職員採用試験受験者は、平成30年度2名(4.4%)、平成31年度3名(4.2%)、令和2年度1(2.1%)であったことから、女性が働きやすい職場環境の整備を推進するとともに、女性を登用したポスターの作成や近隣の学校等において女性向けの説明会を開催するなど、受験者数に占める女性の割合を8%以上確保できるよう努めます。
(2)職員の意識改革
平成29年に新設された女性消防吏員活躍推進アドバイザー制度を活用するなど、管理的立場にある職員を始めとする職員全員に対し、女性の職域拡大、上司の育児参加への理解・支援を含めた働きやすい職場環境の整備など、女性活躍推進に係る意識の改革・醸成を図り、多様な人材を活かす職場づくりを推進します。
(3)環境・施設等の整備について
粕屋北部消防組合において、消防職員として採用となった場合は、その勤務体系に男女の区別はなく、原則隔日勤務であり24時間勤務となります。また、消防は階級制であることから、昇任試験及び異動等についても適材適所を原則とした、女性職員の職域の拡大を公正に行うものとします。
消防職員の定数は、粕屋北部消防組合職員定数条例第2条に定められており、この定数内での採用となると、妊娠、出産及び育児等の事情が発生した場合、直接的な人員減となり、現場警防力に大きな支障をきたすこととなることから、女性職員の採用に伴い、定数条例の見直し等の方策を検討します。
女性職員の活躍の場を広げるために、令和3年度に女性専用の区画(休憩所、浴室、仮眠室)等の施設を整備し、女性用の被服及び装備品の導入をしました。
(4)採用について
令和7年度までに職員総数に対する女性職員の割合を3%以上とすることを目標として取り組みを進めますが、本計画により女性が優先されて採用されるものではなく、男性、女性の隔てなく公正な競争試験により採用されるものとします。
その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1)子ども・子育てに関する地域貢献活動
地域の子育て活動への参加に意欲のある職員が、機会を捉えて、子どもが参加するスポーツ・文化活動への参加、地域に貢献する子育て支援活動に積極的に参加しやすい職場環境づくりに努めます。
(2)子どもとふれあう機会の充実
子どもたちの社会科見学及び職場体験としての署所訪問を歓迎し、小中学生の理解の増進に協力します。
おわりに
私たちは、「消防」という特殊な業務及び勤務条件の中で、地域住民の安全を確保することはもちろん、日々変化する住民ニーズに的確に対応し、この計画を確実に実施して職員一人ひとりが子育ての大切さを認識するとともに、子育てをする職員や女性に優しい職場環境づくりを推進することが求められています。限られた職員数でこれに応えていくことは決して容易ではありませんが、次世代の育成と女性の活躍推進は、時代の要請であることを認識し、全職員が主体的、かつ積極的に本計画の目標達成に向け取り組んで参ります。